鯖色

はい。

僕はもう21歳で、何も変わっていない

 本当の僕は、出来る限りずっと殻に篭ってたいんじゃないか、そんな風に思うことがあるんだ。まだ男子高校生みたいな、そんな気分なんだよ、本当にさ。でも、その実、21歳の無職で、まだナイーヴな気分を引きずってるだけ。それだけ。全くおかしいよ。だってそうじゃないか、本当の自分、なんてないのにね。

 あのさ、今日は色んなことを考えたんだ。風呂場で放尿するときに、ここがプールの飛び込み台の上だったらとか、目を閉じないで眠ったら、夢の中でも暗くないのかなとか。考えてないんだ、そんなことしか。誰かの役に立つこととか、そういうのを考えるのはきっと向いてないんだ。だから、一人でいたい。

 それから、「Sonny Boy」ってアニメを見たよ。これは凄く良いアニメでね、なんかジーンって来ちゃったな。でも、こんなことを書いてるとさ、自分が馬鹿みたいに思えるんだよ。「ナンカじーんッテキチャッタナ」なんてさ。僕にはないんだよ、優れた言語化能力とか、でなければ優れた創造力とか、ないんだ。

 「いつまでそこでそうやって拗ねてるの」って叱って欲しいのかもしれない。僕はアニメの主人公でもないんだから、そんなことを言ってくれる人はいないって、そんなこと考えなくても分かってる筈なのに。いつか、隠された才能が一気に僕の人生を変えてるんじゃなきかって、本気で思ってる。いや、本気とは、言えないか。

 何も変わらないんだ。アニメみたいなことは起こらないんだ。でも、それはアニメが作りごとだからとか、そんな理屈じゃないと思う、上手くは言えないけど。アニメとか、小説とか、好きなんだ。素敵なお話をずっと見てたいよ、実際の人生で傷つくのは、嫌だから。

 こんなことをさ、僕は言ってちゃダメなんだ。僕はもう21歳で、僕がいる世界は凄くつまらないところなんだ。泣きそうになるくらい、嫌なことがいっぱいあって、終わらない。こんなことを言ってるとさ、どうせまた誰かから説教されるんだよ。良くないのは、分かってるよ。

 いや、困ってるふりをしてるだけなのかも、しれない。急に僕とセックスをしてくれるって女性が現れて、それに衝撃を受けて、なんか分かんなくなっちゃったんだよ。自分で分からなくしてるだけでしょって、君なら言うかな。それとも君なら、大丈夫だよって声をかけてくれるのかな。まあ、もういないんだ。そんな人たちはもう、いないんだよ。

 生きているのがずっと寂しい。こんな悩み、どうすればいいんだろうね。鬱でいる方が落ち着く自分もいるんだ、だから、今こうやってウジウジしてて内心気持ちいいよ。働けば、考えも変わるのかな。なんか、ごめん。

 許してほしいんだ。褒められたいんだ。慰めてほしいし、好きって言ってほしいんだ。気持ち悪いよね。泣いても死んでも、意味なんてないしさ、どうせ僕には世界を変えられないんだ。

 うん、話せてよかった。ありがとう。